エリート外科医の甘い独占愛
8時45分。
いつもと同じ時間にカンファレンスが始まった。
卓志が不在でも、何も変わらない朝の風景。
当たり前のように慌ただしく進んでいく時間。
正午前。
伊崎先生と私は容態が急変した患者の対応をしていた。
心電図のモニターからは異常を知らせるアラームが、けたたましく鳴り響いている。
私は伊崎先生に指示された薬剤のアンプルを開けて注射器で吸い上げた。
「野島さん、待って」
伊崎先生はとっさに私の腕を掴んだ。
「違う、それじゃない」
そう言われて自分の手にした薬剤を確認して初めて、伊崎先生の指示とは違っていることに気付く。