エリート外科医の甘い独占愛
06.意外な告白
勤務終了後、30分ほど残業して職員玄関から外に出ると、大粒の雨が降っていた。
カバンの中を手で探ってみたが、いつも入れていた折り畳み傘は見つからなかった。
まるで日中の私への天罰みたいだ――そう考えてさらに落ち込んだ。
「どうしよう」
駅まで走ろうか、それともタクシーを呼ぼうか。
どちらか決めかねている私に、背後から声を掛けてきたのは伊崎先生だった。
「お疲れ様。野島さん、傘は?」
「……忘れちゃいました」
突然話を振られて、戸惑いながらそう答えると、伊崎先生は手にした傘を広げて「駅まで一緒に行きませんか」と言った。