エリート外科医の甘い独占愛
昼間の出来事をいまだに引きずっている私にとって、こうして言葉を交わすことすら気まずい。
けれど、ここで避けてしまったら、きっと明日以降も同じようにして過ごさなければならなくなる。
それだけはもう、嫌だった。
そう考えた私は、思い切ってその隣に並んだ。
伊崎先生はチラリと私を見ると、何も言わず歩き出した。
病院の敷地を出たあたりで、伊崎先生は「良かった」そう呟いた。
「よかった?」思わず聞き返すと、「いや、だって、あれからずっと避けられてて一生口をきいてもらえなかったらどうしようとか考えたりしてました」といった。
そんな伊崎先生の予想外の言葉に、私は戸惑い、慌てた。