エリート外科医の甘い独占愛
「……ありがとう、野島さん」
「じゃあ、ゆっくり休んでください」
そういって立ち去ろうとする私の手を、伊崎先生は掴んだ。
「な、何ですか?」
驚く私に縋るような瞳を向けて伊崎先生は言う。
「5分だけ、傍にいてください」
一瞬だけ卓志の顔が浮かんだけれど、私はその手を握り返した。
だって、伊崎先生はまるで熱にうなされた小さな子供みたいで、放っておくことなんて出来なかったから。
昼前になって、私は売店でスポーツドリンクを買って伊崎先生に差し入れた。
先生は恐縮した様子で何度もお礼を言ってくれた。