エリート外科医の甘い独占愛
07.待ちわびた帰国
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「長期休暇を頂いて、ありがとうございました」
朝のミーテイングで、そう卓志は挨拶をした。
スタッフルームにはお土産の箱が積み上げられていていた。
中身は日本では手に入らない有名店の焼き菓子だそうで、舌の肥えた先輩たちは大喜びしていた。
私は甘いお菓子より、卓志が欲しい。
パリであの子と過ごした分だけ、ううん、それ以上の愛情を私に注いで欲しい。
じゃないと、不安になる。
嫉妬にくるいそうになる。
そして、そんな我儘な自分がたまらなく嫌になる。
ミーテイングが終わるとすぐに、ナースステーションを出た。
新婚旅行の話なんて聞きたくなんかなかったから。
冷やかされて照れ笑いする卓志の顔なんて見たくなかったから。