エリート外科医の甘い独占愛
01.二人の医師
***
「患者のバイタルは?」
術後、帰室した患者の元へ、主治医の卓志が経過を診にやってきた。
「安定しています」
患者は人工呼吸器に繋がれて、規則正しい呼吸を繰り返している。
「そう。……なあ、汐。今夜うちにおいで。式が済んだら自由に会えなくなるだろう?だから出来る限り君と――」
「……広岡先生、患者様の前です」
そう突き放す様に言って俯くと、
「大丈夫。聞こえてないさ」
とさらりと言う。