エリート外科医の甘い独占愛
彼女はそんな私の事を、憎しみを込めた目で睨んだ。
「ねえ、あなた何しに来たの?」
「……」
「なんとか言いなさいよ!」
押し黙る私に、振り上げられた彼女の手。
乾いた音と共に、広がった頬の痛みに思わず声を上げた。
「――ったい」
その時、目の前のドアが開いた。
中から顔を覗かせた卓志は、驚いた様に目を丸くした。
「――莉香、なんで」
「――卓志」
私は消え入りそうな声で卓志の名前を呼んだ。
でも卓志は、泣き出した彼女を、迷いもなく引きよせて抱きしめた。
彼の腕の中にいるのがどうして私じゃないのか。
そんなことを冷静に考えている自分がいた。