エリート外科医の甘い独占愛
優しく背中をさする卓志の大きな手を見つめながら、ジンジンと痛む頬にそっと手の平を当てる。
卓志は彼女を抱き締めたまま、私に視線を移した。
その瞳は、『大丈夫か、まずいことになったな』そう言っている。
私も、『どうすればいい?』
そういう思いを込めて卓志を見つめ返した。
その瞬間ピクリと体を波打たせた彼女は、卓志から体を離すと私に顔を向けた。
こんな時の女の感覚は、とても鋭いのだと思う。
アイコンタクトですら、敏感に感じてしまうんだ、きっと。
だから、どんな嘘をついたら彼女を納得させられるかなんてわからない。
「ねえ、卓くん。どういうことか説明して!」
彼女の声が大きく響いた瞬間、同じフロアーの部屋のドアがゆっくりと開いた。