エリート外科医の甘い独占愛
「さあ、入って」
伊崎先生は玄関のドアを開けると、私の体を強引に押し込んだ。
――パタン
ドアが閉まる音を合図に、全身の力が抜けるのを感じた。
その場にへなへなと座り込むと、冷たいタイルの感触が太ももに広がった。
「大丈夫」
「……はい」
全然大丈夫じゃない。
混乱している。
卓志の奥さんと鉢合わせしてしまったこと。
伊崎先生に聞きたいことも、言い訳しなければならないことも多分たくさんあるはずなのにまるで言葉が出てこない。