エリート外科医の甘い独占愛
「でも」
伊崎先生はそう呟いて、真っ直ぐに私を見つめた。
「僕は、広岡先生とは違います。野島さんを悲しませるようなことは絶対にしません。忘れるためでもいい。僕は野島さんが望むなら傍にいたいです」
「……」
「それでも広岡先生が好きなんですね」
「軽蔑しますか?」
「軽蔑?それは君自身が思っていることで、僕はそんなこと思っていません」
「うそ」
「うそじゃない。でも、大概の人はそう思う。だから、広岡先生との関係は、今日限りで終わりにした方がいいと思います」
伊崎先生はそれ以上何も言わなかった。
ただ静かに、冷めてしまったコーヒーに手を伸ばしてコクリと飲込んだ。