エリート外科医の甘い独占愛
09.裁かれる罪
翌朝、日勤のナースたちが出勤してくる中小さな違和感を感じていた。
いつもなら話しかけてくる後輩も私に挨拶すらせず、遠巻きに見ながら他のナースたちと何かを話しているようだった。
なんだろう。
気にはなったけれど、朝の検温の入力と、点滴の交換に追われて確認することすら出来なかった。
そんな中、伊崎先生が大きく背伸びをしながらナースステーションに入ってきた。
私は昨夜の気まずさから、とっさに顔をそむけた。
「おはようございます。伊崎先生、当直明けでしたっけ?」
他のスタッフが伊崎先生の駆け寄って声を掛ける。
「いや、書類整理が終わらなくて医局に泊まったんですよ」
「そうなんですか、お疲れ様です。じゃあ、これ、まだ見てないですか?」
いいながら、A4サイズの折りたたまれた一枚のコピー用紙を伊崎先生の目の前に広げた。
「なんですかこれ?」
伊崎先生は眉を顰めると、いきなりその用紙を奪い取るり勢いよく破り捨てた。