エリート外科医の甘い独占愛
1人残された私は、甘い余韻に浸る。
「最低な男……でも、好きよ。卓志」
そう小さくつぶやくと同時に、コツリと靴音が聞こえハッと我に返った。
いつからそこにいたのか、卓志の後輩にあたる医師の伊崎諒が立っていた。
「野島さん、広岡先生のこと――」
聞かれてしまった。
そうおもって身構えながら伊崎先生の眼鏡の奥の瞳を見つめる。
「探してるんだけど。しりませんか?」
「え、ああ」
ホッと胸を撫で下ろしながら、
「多分ナースステーションに戻ったんじゃないでしょうか」
と笑顔を作った。
「そう、ありがとう。こちらの患者さんは、野島さんが受け持ちですか?」