エリート外科医の甘い独占愛

でも、そんな卓志の言動に、院長は眉をひそめる。

「もしこれがいたずらだとしても、スキャンダルには間違いない。これで収まるならいいが、もしエスカレートして病院の評判が落ちるようなことはあってはならないこと。それは君たちも十分理解できるはずだ。どちらか一方に異動をしてもらわないとならない。そう考えている。」

クリアーなイメージを求められている病院にとって、あまり好ましくない事実。

大病院で起きた小さなトラブルですら、低俗なゴシップ誌は喜んで記事にするかもしれない。

だからって私か卓志、どちらか一方が異動することで解決することなのだろうか。


「あの、院長先生。犯人探しはしないのですか?」


私は意を決してそう切り出した。

私達が処分を受ける前に、するべきことだと思ったから。

でも、院長は首を横に振る。

「それをするつもりはない。広岡先生は、終末期医療に興味はお持ちかな?丁度、系列病院の医師が着任早々やめてしまってね」

「どういう意味ですか?院長。私の方に異動をしろと、そうおっしゃりたいのですか?」

卓志は拳に力を込める。

医院長の言った系列病院は、とても遠い北の雪深い地にある。

大自然に囲まれて最後の時を過ごすためのホスピスをメインとした小規模の病院だ。


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