エリート外科医の甘い独占愛

それから私は、ナースステーション内で、残っていた看護記録を書きながら、卓志が病棟に戻ってくるのを待った。

けれど、卓志は姿を現さなかった。

PHSを鳴らそうかとも考えたけれど、まだ院長室に居たらと思うとそれも出来ない。

今夜、タイミングを見計らって連絡を取ることにしよう。

そう考えて、小さくため息をついた。

――数分後。

代わりにやって来たのは看護部長で、私の姿を見つけると傍に来て小声でこう話かけた。


「今日の所は、自分の仕事が終わったら帰宅しなさい。いいわね」


それだけ言うと、すぐさま私に背を向ける部長の態度に、まるで自分自身が拒絶されて様に感じて、微かに心が震えた。


「……はい。お疲れ様でした」


私は消え入りそうな声でそう答えた。


それから黙々と作業をつづけ、自分の仕事を終えると、帰り支度をして1人病棟を出た。

更衣室で私服に着替えて職員玄関の扉を開けると、私に向かって1人の女の人が歩み寄ってくる。



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