エリート外科医の甘い独占愛
シフォン素材の女性らしいワンピースに身を包み、その手にはエルメスのバーキン。口元は緩やかに弧を描いていたけれど、その瞳は私を冷たく射抜くように見つめていた。
「こんにちは、野島汐さん」
「――あ」
間違いなく卓志の奥さんだ。
「な……にかようですか?」
思わず声が上ずった。
こんなところで偶然にも、卓志の奥さんに会うなんて。
ううん、違う。
彼女は明らかに私を待ち構えていた。
「あなたに大事な話があるんですよ。少しお時間頂けますか?」
私は断るタイミングすら見つけられず、彼女に促されるまま、病院近くのカフェに入った。