みだりな逢瀬-それぞれの刹那-
いつも通りにアハハと笑いながら、通りがかった店員さんを呼び止めて至極の一杯をオーダー。
「杏奈ちゃん、なに食べる?」
「なんでも食べる!」
のんびりとした口調でマイペースを貫く亜矢は、私のお皿に料理を取り分けてくれる。
まさに素敵女子の彼女は、嫁にしたいナンバーワン。羨ましいというか私が嫁に欲しいくらいだ。
「相変わらずね」と陽香が呆れて言えば、「まったく」と隣で頷いているほのか。
「じゃあ、YASHAが揃ったところでかんぱーいっ!」
「かんぱーいっ!」」
今日も仕切り屋な祥子の音頭で、5人がグラスやジョッキを掲げて乾杯をする。
ちなみにYASHAとは文字通り、全員の名前のアルファベットの頭文字をくっつけたもの。
安直なところが私たちらしいけど、何だかんだでお気に入りのネーミングだったりする。