みだりな逢瀬-それぞれの刹那-
~後日談~
最後まで粘ったのだが勝てる訳もなく、結局なし崩し的に付き合うことになった私と例の男。
その報告をいつもの居酒屋でYASHAメンバーにしたところ、ひとりの拍手(亜矢)以外の反応は淡々としたもの。
それどころか「やっぱりね」」と、見事に口を揃えて言ってくる。
「なんでよ!?」と皆の顔を見れば、祥子が煙草に火をつけながら呆れていた。
「だってさぁ、職場の嫌いなヤツに立ち向かう労力ほど無駄なものはないわよ。
無謀だし、疲れるだけの苦労なんかしたくないわよ。ねえ?」
「そうそう。会社の有望株に当たっていく方が無謀。ていうか、アンタ気づいてなかったでしょ?」
同調したほのかの問いかけに、「な、なにが?」となぜか私が困惑させられる始末。
「ずっと例の人が好きだったコト」
そうして答えあぐねる私に、助け船を出してくれたのは陽香だった。
「うそっ!?」
しかし、その見当違いな意見に驚かない訳がない。思わずテーブルに両手をつき、勢いよく立ち上がった。