【短】桜の咲く頃。
少し気まずい沈黙が流れて、どうしようと思っていると、沈黙を破ったのは意外にも彼の方だった。
「あのさ……」
「……はい」
少し間が空いて、首を傾げて彼を見ると
「なんで泣いてたの?」
ととても優しい声で問いかけられた。
「え、……と」
私が言葉に詰まっていると
「……別に自分のタイミングでいいけど」
とまた優しい声で言われた。
数分間沈黙が続いて、次に沈黙を破ったのは私だった。