【短】桜の咲く頃。
「あの……」
「……ん?」
「えと……寂しくて」
「寂しい?」
彼の声がとても優しいから、涙腺が少し緩んでしまう。
「……はい。私、もともと人見知りが激しくて。なのにこの高校には知っている人が誰1人いなくて……」
どんどん涙声になって言葉が詰まった。
「……ゆっくりでいい」
そう言いながら優しく、背中をさすってくれた。
それをされると不思議なことに少しずつ落ち着いてきた。
「…そしたらすごく心細くて。……友達も、出来ないし…」