【短】桜の咲く頃。
「あの涼、くん…ありがと」
たぶん今の私の顔は涙でぐちゃぐちゃだけど、心から笑えた気がする。
涼くんはふっ、と笑うと立ち上がり、私の腕も引っ張り立ち上がらせた。
「帰るぞ」
「はい」
笑顔で涼くんを追いかけ、一度振り返った。
バイバイ、泣き虫な私。
涼くんがいてくれれば、私はもう泣かないと思うから。
だからバイバイ……。
これから涼くんは私にハッピーな生活をくれる。
そのことを知るのはもう少し先。
END