LOVEless ~不倫~
忘れたい・・・

別れなきゃ・・・



焦る日々の中で
思い出すのは私が好きだった
樹生の仕草とか一緒に仕事した良い思い出ばかり。

辛いことがたくさんあった事実は
さすがに忘れられないけど

それを思い出す事が最近は無かった。


恋って人から冷静さと判断力を奪っていくものなんだ。

「せっかくなのに。
ねぇ本当に抜けれないの?」

横でしつこく駄々こねる樹生に

「もう!怪しまれるから早くどっか行って!」

そう言った矢先

「あれ、織田さん?」

私の苦手なオープンメンバーの1人である
おばさまが小走りにやって来た。


この人、普段こんな所通らないのに

鼻が効くというか、何というか。


約1年ぶりの樹生を発見した
おばさまは興奮気味。


「聞いたよ~
あっちの店舗の子と結婚するんだって!」


無駄に声、大きいし。

案の定その声を聞きつけて近くにいたパートさん達が樹生の周りに集まりだした。



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