LOVEless ~不倫~
話したくないわけじゃない。

だけど
口にした瞬間にさっき見た光景が
現実となって自分に襲いかかってきそうで
怖い。

「ごめん」

無言で運転するヒロに謝る。

「もう少し自分の中で消化してから話すよ。
今、話すと感情的になっちゃて後で後悔しそうだから」

言い訳する私に

「千帆さん、変わりましたね」

こっちを見たヒロの目が笑っている。

良かった。
怒ったんじゃなかったんだ。

ホッとして

「私が変わった?」

聞き返すと


「前はもっと突っ走ってる感じだったけど
今は・・・
走る前に考えるようになったというか(笑)
ちょっと大人になりましたね」


「それ、褒めてる?バカにしてる?」

「そんな千帆さんも可愛いな~と思って」

「じゃ、一応は褒めてくれてるのね」

可愛い?!
誰かに褒めてもらうことなんて
最近はほとんど無いから
ついニヤニヤと顔を緩ませていると


「ほい、着いたよ」
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