夜桜と朧月
咲希と多希は味のない人参グラッセ(擂り潰したものを少々)でご満悦だったし、空きっ腹に一気にアルコールを流し込んだお義兄さんは、すっかり顔が赤くなっていた。



それでも咲希と多希がうとうとし始めた頃には、しっかりと一人ずつ抱えて、ベッドに寝かしつけてあげている。



そして、これまた寝室から、かわいくラッピングされた紙の包みを二つ、咲希と多希の両脇に置いた。




……咲希と多希、よかったね。




サンタさんは、ちゃんと来てくれたんだよ。



その光景を微笑ましく見つめていたら、お義兄さんは、今度は姉の仏壇にも何かをあげた。



「あいつが好きな洋菓子店の、マカロン。いつもの年だったら、アクセサリーをあげてたんだけどね……」



……お義兄さんは、姉にまでプレゼントを忘れていなかったんだね。



どれだけ深くて強い愛情なんだろう。



「……俺の事さ、弱い奴、とか思った……?」



私の視線を感じてか、お義兄さんが呟いた。



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