夜桜と朧月
薫の年末年始の休暇が、29日から1月6日までに決まった。


実家へは、大晦日から2日にかけて帰省すると言っていた。勿論咲希と多希も連れて。


向こうのご両親はとても喜ぶだろう。


うちの父へは、3日の日に挨拶に来て、その日はうちに泊まるとの事。

お父さん、一人じゃ大掃除なんてやらないからなぁ。


やっぱり私が帰ってやんなきゃ駄目なのかな。せっかくお客さん来るんだから、少しは綺麗にしとかないと。


咲希や多希、それに薫がうちに来てくれるのはすごく嬉しいんだけど。



楓との冷めきった関係のせいで、シビアに見ていた男女間の熱情みたいなものを、私に思い起こさせてくれたのは薫だった。



だとしたら、薫が私を必要としていたのではなく、私も薫を必要としていたのだと、後になって気付いた。



そして、自分の気持ちに気付いた今、少しでも長く薫と一緒にいたいと願う、現金な私がいる。



考えてみれば、私だってまだ20代の前半、色んな体験をしても良い年頃の筈。



そこまで考えて、ちょっと気になる事を思い出した。



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