夜桜と朧月
いざ、私が帰省する段になって、仏壇から、姉の位牌を実家に連れて帰りたいと薫に懇願したら、いいよと言って、きちんと袱紗に包んでくれた。
年末年始、誰もいない家に一人だけ姉を残していくのは、とても寂しいだろうと思ったからだ。
私にその位牌を渡す時、「悪いけど、ちゃんと世話してやって」と付け加えた薫の言葉に胸が詰まった。
今でもまだ、姉の事を大切に思ってくれているのだと……。
咲希と多希の荷物は纏めて玄関先に出して置いた。赤ちゃんも二人になると、4日分の着替えやオムツだけでも結構な荷物になる。
だから、うちに泊まりに来る分は、私が少し持って帰る事にする。
クリスマス以来私は自分のアパートへは帰らず、ほとんどこの家で過ごしてきたから、自分の物は何も持たずにこのまま実家に帰る事にしていた。
咲希や多希と一緒に玄関まで来て、私を見送る薫が顔を近付けた。
「何日か会えないから」
そう言って、軽くキスをした。
ばか。
「3日には会えるでしょ。咲希と多希の写メだけは、絶対頂戴ね!」
強がったけど、暫く寂しいのは本当。
年末年始、誰もいない家に一人だけ姉を残していくのは、とても寂しいだろうと思ったからだ。
私にその位牌を渡す時、「悪いけど、ちゃんと世話してやって」と付け加えた薫の言葉に胸が詰まった。
今でもまだ、姉の事を大切に思ってくれているのだと……。
咲希と多希の荷物は纏めて玄関先に出して置いた。赤ちゃんも二人になると、4日分の着替えやオムツだけでも結構な荷物になる。
だから、うちに泊まりに来る分は、私が少し持って帰る事にする。
クリスマス以来私は自分のアパートへは帰らず、ほとんどこの家で過ごしてきたから、自分の物は何も持たずにこのまま実家に帰る事にしていた。
咲希や多希と一緒に玄関まで来て、私を見送る薫が顔を近付けた。
「何日か会えないから」
そう言って、軽くキスをした。
ばか。
「3日には会えるでしょ。咲希と多希の写メだけは、絶対頂戴ね!」
強がったけど、暫く寂しいのは本当。