夜桜と朧月
「いや、実は忘れてたんだが、こないだの24日にお前宛てに外国から小包が届いたんだよな。で、お父さん英語は読めないけど、差出人の名前だけは分かったんだ。それで……」
小包の、差出人は、……楓……。
「楓君というのか、彼、実はお前が引っ越してから二ヶ月ぐらい、毎週必ず一回はうちに来てたんだよ。ほら、お前が彼には絶対行き先を教えるなって言ったから、最初はストーカーだと思ってたんだよな。でも、彼の話を聞いたらどうも……」
どういう事だ?と、不安気に、父は訊ねた。
「……なんでもないよ。この人とは、もう終わった仲だから……」
わたしが引っ越した後、楓からは結構頻繁に携帯に着信があったのは知っている。
でも楓の番号は着拒にしていたし、咲希や多希の世話で忙しく、とてもじゃないが心の中に楓を住まわす余裕なんて全然無かった。
そのうち、パタリと電話がかかって来なくなったから、楓との仲は、もう自然消滅したものだとばかり思っていた。
それが、なんで今更小包なんて……。
しかも、クリスマスに?
とにかく気になるから開けるだけは開けてみようと思い、小包を持って自分の部屋へと戻った。
少し震える手で、鋏を持ち、端をゆっくり切り離していく。
中から出てきたのは、クリスマスカラーの包装紙に包まれた、小さな箱だった。
金色のリボンの結び目に、小さな二つ折りのカードが挟まっている。
ゆっくりと、そのカードを開いてみた。
――今まで、苦しめて本当にごめん――
――もう、絶対に泣かせないから――
――今は行けないけど、桜が咲いたら
君を迎えにいきます――
小包の、差出人は、……楓……。
「楓君というのか、彼、実はお前が引っ越してから二ヶ月ぐらい、毎週必ず一回はうちに来てたんだよ。ほら、お前が彼には絶対行き先を教えるなって言ったから、最初はストーカーだと思ってたんだよな。でも、彼の話を聞いたらどうも……」
どういう事だ?と、不安気に、父は訊ねた。
「……なんでもないよ。この人とは、もう終わった仲だから……」
わたしが引っ越した後、楓からは結構頻繁に携帯に着信があったのは知っている。
でも楓の番号は着拒にしていたし、咲希や多希の世話で忙しく、とてもじゃないが心の中に楓を住まわす余裕なんて全然無かった。
そのうち、パタリと電話がかかって来なくなったから、楓との仲は、もう自然消滅したものだとばかり思っていた。
それが、なんで今更小包なんて……。
しかも、クリスマスに?
とにかく気になるから開けるだけは開けてみようと思い、小包を持って自分の部屋へと戻った。
少し震える手で、鋏を持ち、端をゆっくり切り離していく。
中から出てきたのは、クリスマスカラーの包装紙に包まれた、小さな箱だった。
金色のリボンの結び目に、小さな二つ折りのカードが挟まっている。
ゆっくりと、そのカードを開いてみた。
――今まで、苦しめて本当にごめん――
――もう、絶対に泣かせないから――
――今は行けないけど、桜が咲いたら
君を迎えにいきます――