夜桜と朧月
大掃除はなんとか大体片付いて、明日も半日ぐらいみっちりやればいつお客さんが来ても大丈夫だ。

ほっと一息ついた時、携帯に着信が入った。



意外にも、高校時代の仲間からだった。

懐かしさについ飛び付いて携帯に飛び付く。



「もぉしもしー!!マナ!!アンタ今までどこ行ってたのぉ!?」



相変わらずハイテンションな声は、間違いなくツレだったチヒロのものだ。



「あんた、相変わらずテンション高いね。あんたの 寝起きを見てみたいわ。今までね、ちょっと遠方に、ベビーシッターの仕事、みたいな?」



みたいな、ってなんだと、自分でも苦笑する。



「はぁ?ま、どうでもいいけどさ、明日久しぶりに高校ん時の仲間で集まろうって話しになってんだよね。アンタもおいでよ」



嫌だな……。だって、もしかしたら、楓も来るかも知れないんでしょ?



「私は……パス。ごめ」


「えー!!楓君来ないからー?」



あれ?楓が、来ない?


「事情は分かんないけど、アンタ達、まだ付き合ってんだよね?なんか、楓君が失踪したとか噂になってんだけど。そこんとこ教えてよ!じゃ、駅前の丸井屋に7時集合ね!」



チヒロは言いたい事だけ言って、一方的に通話を切った。



失踪?楓が?



楓が考えてる事が、よく分からない。




その日は、久しぶりの自分の部屋だと言うのに、とても落ち着かなかった。






翌朝目が覚めると、深夜にメールが受信されていたことを知った。

薫からのメールで、笑っちゃうぐらい同じ格好で寝ている咲希と多希の寝相の写メが添付されている。



大丈夫。



私は、もう惑わされないから。


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