夜桜と朧月
頭が真っ白になったまま、お手洗いに踞った。
まさか、あんな事しておいて……―――。
思考を断ち切るかのように、着信音が鳴り響く。
カタカタと震える手で携帯を握り、耳に充てた。
『……もしもし?』
薫………。
「か、おる……」
不自然に声が震えた。
『……お前、どうした?何かあったのか?』
駄目だ。楓の事、まさか言えるわけなんて、ない。
「ちょっと、悪酔い…した」
はあ、と大きく息を吐いて、薫が苛立ったように『お前、もう帰れ』と言う。
「ん……。もう帰りたい……」
『帰りたいじゃなくて帰れ。朝のメール見てから、すげぇ心配してた』
薫。薫に、会いたいよ……。
「薫。二番目に、好きって言って?」
薫の一番は、お姉ちゃんしかいないから。
私は薫の二番目でもいい。
楓にとっての一番より、私は薫にとっての二番がいい。
『………よく聞いとけよ』
『………今、生きてる中で、一番大切な女は真愛だ……』
『お前しか、いないから』
.
まさか、あんな事しておいて……―――。
思考を断ち切るかのように、着信音が鳴り響く。
カタカタと震える手で携帯を握り、耳に充てた。
『……もしもし?』
薫………。
「か、おる……」
不自然に声が震えた。
『……お前、どうした?何かあったのか?』
駄目だ。楓の事、まさか言えるわけなんて、ない。
「ちょっと、悪酔い…した」
はあ、と大きく息を吐いて、薫が苛立ったように『お前、もう帰れ』と言う。
「ん……。もう帰りたい……」
『帰りたいじゃなくて帰れ。朝のメール見てから、すげぇ心配してた』
薫。薫に、会いたいよ……。
「薫。二番目に、好きって言って?」
薫の一番は、お姉ちゃんしかいないから。
私は薫の二番目でもいい。
楓にとっての一番より、私は薫にとっての二番がいい。
『………よく聞いとけよ』
『………今、生きてる中で、一番大切な女は真愛だ……』
『お前しか、いないから』
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