夜桜と朧月
時間をかけて愛撫を施し、薫が入ってきた時には、私自身が既に何回かトバされた後だった。



二人で一緒に登り詰めたのが、私としては嬉しかったのだけど。


「っあー……」


後悔するように薫が呻いた。何よ、私がそんなにヨくなかった訳!?

「今日はお前だけイかせるつもりだったのに……」

「……何でよ。私は一緒で嬉しかったのに」


私の肩を擽る薫の髪を弄りながら、少し脹れた。


「……昔のオトコのカラダを忘れさせたかっただけ。お前のカラダが俺だけ覚えれば、それでいい」

「……独占欲、だぁ……」



薫が耳のピアスを弄り、「そー言うコト」と言って、額にキスをしてくれた。





もうとっくに薫の色に染まってますよーだ。なんて言ってあげないけどね。
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