夜桜と朧月
深層

翌朝も父と双子達が起きてからは目が回るようだった。

父が私達の隙を見て、咲希と多希にいらぬちょっかいを出すからだ。



今朝は炭酸ジュースを水で割ったものを哺乳瓶に入れて飲ませようとしたのを、薫が逸早く見つけて阻止していた。


朝食を食べ終えた父が、ベビーカーに二人を乗せて散歩すると言い出したから、私もついて行くつもりだったが、薫に止められた。


父とあの子達の時間を作ってあげようと。


あの父の事だから何を仕出かすか分からず不安ではあったが、薫がそう言うのならと、ハラハラしながらそれを見送った。




薫は自分の車の助手席からベビーシートを外し、後部座席につけ直した。


「何してるの?」


訝しげに尋ねると、「お前の席」と、助手席を指差した。


「だって、私、自分の車運転して帰って来たよ?帰りも……」

「一緒に帰ればいいだろ。帰るとこ同じなんだから」


事も無げに言われると赤面する。もうそれって半同棲って事だよね?



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