夜桜と朧月
深層
Ⅰ
翌朝も父と双子達が起きてからは目が回るようだった。
父が私達の隙を見て、咲希と多希にいらぬちょっかいを出すからだ。
今朝は炭酸ジュースを水で割ったものを哺乳瓶に入れて飲ませようとしたのを、薫が逸早く見つけて阻止していた。
朝食を食べ終えた父が、ベビーカーに二人を乗せて散歩すると言い出したから、私もついて行くつもりだったが、薫に止められた。
父とあの子達の時間を作ってあげようと。
あの父の事だから何を仕出かすか分からず不安ではあったが、薫がそう言うのならと、ハラハラしながらそれを見送った。
薫は自分の車の助手席からベビーシートを外し、後部座席につけ直した。
「何してるの?」
訝しげに尋ねると、「お前の席」と、助手席を指差した。
「だって、私、自分の車運転して帰って来たよ?帰りも……」
「一緒に帰ればいいだろ。帰るとこ同じなんだから」
事も無げに言われると赤面する。もうそれって半同棲って事だよね?
父が私達の隙を見て、咲希と多希にいらぬちょっかいを出すからだ。
今朝は炭酸ジュースを水で割ったものを哺乳瓶に入れて飲ませようとしたのを、薫が逸早く見つけて阻止していた。
朝食を食べ終えた父が、ベビーカーに二人を乗せて散歩すると言い出したから、私もついて行くつもりだったが、薫に止められた。
父とあの子達の時間を作ってあげようと。
あの父の事だから何を仕出かすか分からず不安ではあったが、薫がそう言うのならと、ハラハラしながらそれを見送った。
薫は自分の車の助手席からベビーシートを外し、後部座席につけ直した。
「何してるの?」
訝しげに尋ねると、「お前の席」と、助手席を指差した。
「だって、私、自分の車運転して帰って来たよ?帰りも……」
「一緒に帰ればいいだろ。帰るとこ同じなんだから」
事も無げに言われると赤面する。もうそれって半同棲って事だよね?