夜桜と朧月
「ね。咲希達のお雛様、薫のご両親と何か話し、してる?」
私の髪の毛を玩んでいた薫の手がピタリと止まる。
「は……?いや、なんも……」
やっぱり考えてなかったな?
「うちのお母さんが、お姉ちゃんと私にって買ってくれたお雛様があるんだけどね。それを咲希と多希に譲っても、いい?もし薫とご両親がどうしても新しいの欲しいなら、いいけど……」
「そんなに大事なもの貰っていいのか?」
「うん。お姉ちゃんもその方が嬉しいと思う」
お母さんも、きっと喜ぶだろうな。孫に、自分が買ったお雛様を見せてあげられたなら。
それに、お姉ちゃんの横に飾ってあげたい。
お母さんから貰った、大事なお雛様。
お姉ちゃんの居場所は間違いなく此処にあるんだよ、って。
「……お義父さんに聞いてみて、大丈夫そうなら、そうしてやってくれるか?」
《あいつ、きっと安心する。》
そう言って呟いた薫の指にキスしながら、頷いた。
父へは明日にでも電話をしよう。
.
私の髪の毛を玩んでいた薫の手がピタリと止まる。
「は……?いや、なんも……」
やっぱり考えてなかったな?
「うちのお母さんが、お姉ちゃんと私にって買ってくれたお雛様があるんだけどね。それを咲希と多希に譲っても、いい?もし薫とご両親がどうしても新しいの欲しいなら、いいけど……」
「そんなに大事なもの貰っていいのか?」
「うん。お姉ちゃんもその方が嬉しいと思う」
お母さんも、きっと喜ぶだろうな。孫に、自分が買ったお雛様を見せてあげられたなら。
それに、お姉ちゃんの横に飾ってあげたい。
お母さんから貰った、大事なお雛様。
お姉ちゃんの居場所は間違いなく此処にあるんだよ、って。
「……お義父さんに聞いてみて、大丈夫そうなら、そうしてやってくれるか?」
《あいつ、きっと安心する。》
そう言って呟いた薫の指にキスしながら、頷いた。
父へは明日にでも電話をしよう。
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