夜桜と朧月
お正月以来、帰っていなかった我が家だが、此方の方はまた少し雪が降ったようで、路肩に雪が残っている。
天気も、此方はどんよりと曇り、いつまた雪が振りだしてもおかしくはないだろう。
「……ただい、ま…?」
「なんで疑問形なんだよ」
薫さん、突っ込み痛いです。
玄関先に仁王みたいに立っている父の視線も痛いです。
「よく来たな。ま、上がりなさい。………その前に、とりあえず抱っこさせてくれよ」
仁王様が如来様に変わった。
父の今日のお相手は咲希らしい。「さきー、さきー、さきちゃーん」とか言って、相変わらずジジ馬鹿全開。
私と楓は、「持って行って良い」と言われた雛人形の大きな箱を、車の後ろに積み込んだ。
家の中に入った父に会いに、私達も中に入る。
「おお、これな、昨日買ってきた」
語尾に♪が付きそうなほど浮かれて父が見せたのは、室内用の滑り台だった。
八畳の座敷の半分を占領している。
「高かったんじゃない?それにまだこれで遊べるほど大きくないし?」
呆れて父を見ると、父は嬉しそうに今度は多希を抱き上げた。
その膝元で、咲希が最近覚えた寝返りの技を披露している。
天気も、此方はどんよりと曇り、いつまた雪が振りだしてもおかしくはないだろう。
「……ただい、ま…?」
「なんで疑問形なんだよ」
薫さん、突っ込み痛いです。
玄関先に仁王みたいに立っている父の視線も痛いです。
「よく来たな。ま、上がりなさい。………その前に、とりあえず抱っこさせてくれよ」
仁王様が如来様に変わった。
父の今日のお相手は咲希らしい。「さきー、さきー、さきちゃーん」とか言って、相変わらずジジ馬鹿全開。
私と楓は、「持って行って良い」と言われた雛人形の大きな箱を、車の後ろに積み込んだ。
家の中に入った父に会いに、私達も中に入る。
「おお、これな、昨日買ってきた」
語尾に♪が付きそうなほど浮かれて父が見せたのは、室内用の滑り台だった。
八畳の座敷の半分を占領している。
「高かったんじゃない?それにまだこれで遊べるほど大きくないし?」
呆れて父を見ると、父は嬉しそうに今度は多希を抱き上げた。
その膝元で、咲希が最近覚えた寝返りの技を披露している。