夜桜と朧月
確かに私もそうして欲しい気持ちはあるけれど……。


「……私はまだ、そこまで強く、薫を束縛しようと思ってないよ……?そんな事したら、薫が潰れるんじゃないの?」



だってまだ、姉が亡くなってから半年しか経ってない。悪く言う人もいるかも知れないよ?



「俺がお前を束縛したいの。他人にどうこう言われたくもないし」

「薫は、後悔しないの?」



だって、リングって特別な物じゃないか。だから、薫はまだお姉ちゃんとの結婚指輪を外していないんでしょう?

それなのに、もう1つつけるの?



「後悔じゃなくて、安心したいから。これでお前が俺のだって言う、証が」



会話は、もう意味を為さなかった。まだ薫には言いたい事もあったけど、敢えて口に出すのは止めた。

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