【短編】JEWEL
「俺、好きな子いるから……ごめんね」
気持ちの良い春風が、あたしの前を通り抜け、告白した相手は苦笑いを零して消えていった。
……また、だ。
何度も見る光景に慣れてきている、あたしは小さく息を吐いた。
好きになって頑張って告白するも、振られてばっかりのあたし。
なぜだ?
別に唐突に告白してるつもりはない。
ちゃんと顔とか名前とか覚えてもらって、一応は順序を踏んでるつもり。
それなのに何で~!?
最近彼女と別れた。って聞いた来る者拒まずの真祐(マヒロ)君。
いつも彼女を見る可愛い笑顔にキューンてしてたんだ。
あたしも、あんな風に大切にされたいなって思った。
だから、別れたって聞いて告白したのに……この結果。
あたしは、いっつもそう。
好きになるのは、人より早い方だと自分でもわかってる。
だけど、いつもちゃんと本気なのに。
それなのに上手くいかない恋ばっかりの繰り返しなんだ。