【短編】JEWEL
はぁーあ。
何度ついたかわからない溜息を、吐き出しながらマンションのエレベーターのボタンを押す。
携帯片手にエレベーターに来るのを待っていると、後ろに気配を感じた。
別に何も思わず、振り返ったら……。
ゲッ!!
後ろにいた人を見るなり、眉間に皺が寄ってしまったのが自分でもわかるほどだった。
「だ、大智(ダイチ)、今帰り?」
そこにいたのは、同じマンションに住む、2個下の大智だった。
あたしより15センチ以上は背の高い大智が、あたしを見下ろす。
この距離で聞こえないとかありえないのに、睨むようにチラッとあたしを見ると、すぐに目をそらしてしまった。
……。
何すか、今の。
ぜぇーったいワザとだよね!?
すんげぇ、むーかーつーくーぅ!
中学生のくせに、やたらと高い背。部活を始めたとかで、結構ガッチリとした体。
何を色気づいたのか、ちょっと伸ばし気味の無造作にセットされた黒髪。
今時の中学生は、みんなこんなになってるのかしらね。
妙に大人ぽい、モテそうな顔すらムカツクわ。