ナルシ!?俺様!?上等上等!!
「…利用……?」
「栞は、お前の家にしか興味がなかったんだと。クッソ……!」
「俺の…家?」
「お、お前ん家、有名な会社の社長してるだろ?」
「あぁ…」
「だから、近づいたんだって…」
俺は話が掴めずにうろたえたが、次第と冷静になっていった。
俺を、いや…俺の家柄を利用しようとする輩はよくいたからだ。
「……でも、先輩の男のが良いから、って。俺らと遊ぶのガキみたいでつまんねぇって。……」
「…そうか。そうだったのか」
信じていたのにな、これでも。
静かに俺の頬に涙が伝った。
「う、うぁあ、あぁぁぁ……」
泣き崩れる透の横で、静かに俺は目を閉じた。
ひたすら俺に謝る透に、胸が締め付けられつつ。