サイレント・チルドレン01

欲しかったCDがあったわけじゃないから、ランキング順に並べれた棚を眺めていた。


上のほうに、好きなアーティストのシングルが見つかった。

手を伸ばす。

すると、横から誰かの手が伸びてきて、
そのCDを取った。

「あ」

「これ欲しかったの?

お嬢ちゃん」


下卑た笑みを浮かべてCDを持っていたのは、年上と思われる3人のグループ。

「は、はあ……」


何と言えばいいか分からず、間抜けな返事をしてしまった。


「1人? ちょっと遊ばない?

このCD買ってあげよーか」

「あの、いいです」

「そんなこと言わないでさ、

コイツに買ってもらえよ」

「はぁ? いやだしぃ〜」


ぎゃはは、と下品な笑い。

どっか行こう。

と思ったけど、怯んでしまって動けない。


「そうだ、お前、これ持って店出ろよ」


そいつは、あたしに向かって言っていた。


「え、え?」

「レジ通んないでいいよ。

俺、これ欲しいからさ。

ね、嫌?

なら遊ばない?」


ニヤニヤした顔。

気持ち悪い。


思わず1歩下がった。



トンっ

何かにぶつかった。






そして、そのまま腕を回された。

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