サイレント・チルドレン01
「あ、アキ…」
「ん?」
さっきのことなど無かったように、アキがいつも通りの生返事をする。
「ありがとう」
「……だって。ちーちゃんは俺のだし」
アキが子どもみたいに抱きついた。
今日は許してあげようか。
子どもみたいな彼氏。
無口な彼氏。
「ちーちゃん、この前言ってたカフェ、やっぱ行こうか」
「え? あ、うん。 行きたい」
数十メートル先にカフェがあるのを見つけて答えた。
子どもみたい。
だけど子どもじゃない。
あたしはアキを体から離して、
アキの腕に抱きついた。