おうちにかえろう
分かっていたことだけど、出迎えてくれる人なんて誰も居なくて。
リビングのドアの隙間から漏れる光が、お父さんの存在を示しているかのようで、また息苦しくなった。
足が重くて、動かない。
だけど、いつまでもここにいることは出来ない。
ゆっくりと靴を脱いで、リビングへと向かった。
「………。」
しん、と静まり返った空気の中で、ドアを開ける音だけが妙に響いた。
「……あ、…美月ちゃん……」