おうちにかえろう
…私、何のために呼ばれたんだろう。
さっきまでの忙しない鼓動は漸く落ち着きを取り戻したのに、今度は空虚感に襲われて、動けなくなった。
お父さん、さっきインターフォンを押したときには出てくれたのに。
本当に顔を見る気もないんだな。
全くこちらに来ようとしない。
見ていれば、分かるもの。
いつもそうだったもの。
今までもずっと、そうだったもの。
だから、今更期待することなんて何もない。
何もなかったんだ。
それなのに私はやっぱりどこまでも馬鹿だから、
「……美月ちゃん、…実はね、私たち…」
…いつまで経っても学べない。
「籍をいれようと思ってるの」
メールが来た時点で多分、どこかでほんの少しだけ、期待してしまっていたんだと思う。