おうちにかえろう
「………。」
檜山が、今日一番の間抜けヅラで固まった。
まぁ、そんな顔にもなるだろうな。
俺だって、どんな流れでその結論だよ、と突っ込みたくなる。
それくらい、強引な流れだ。
「……ちょっと待ってください、…何を仰っているのか、よく分からないのですが…」
「まぁ正直俺も分かってないけどな」
朔兄は、しれっと、そして偉そうにそう言い返した。
胸を張る意味が分からん。
なぜそこで上から目線。
「とりあえず、俺はもう美月ちゃんを一人には出来なくなった。今度こそ本気で放っておけなくなった。そうなったらもう、一緒に住むしかないと思った」
「………なぜ……?なぜそうなりましたか……?」
「いや、手っ取り早いかなって」
「…手っ取り早いって………なぜにその結論に……」
「あーもう。なぜなぜうるせぇなぁ」
わざと作ったしかめっ面を檜山に見せつけた朔兄。
それが朔兄の作戦だとも知らずに圧倒され言葉を飲み込む檜山。
そんな2人をしらーっと見守る俺。
…何これ。
今、何の時間ですか。
「俺が決めたことは絶対なの、分かった?」
「………分かりませんよ……」
檜山の解答は、ごもっともだと思った。
だから、気付けば俺は、頷いていた。
「ちっ…しぶといな」
朔兄が悪い顔で舌打ちし出したけど、まぁいいや、とりあえずさ。
雨が益々勢いを増してきたから、屋根のある所に行きたいよ。