おうちにかえろう




「……っ」




…嘘。


泣いてるし、私。


嘘みたい、本当に。


何年ぶりだろう。


覚えていないくらいに久しぶりなのに、何でこの人の前で泣いているんだろう。


私、本当に、どうしちゃったんだろう。





「………おせっかいって……言われませんか……」


「超言われる。だがしかし、この性格を直すつもりは一切ない!!」


「……………うざいですね……」


「うるせーよ!!」




ポロポロ、ポロポロと。


今まで溜めこんでいたものが全部涙になって出てきてるんじゃないかって錯覚するくらいに、溢れて止まらなかった。



その間、雨宮さんはずっと、タオルで顔を拭ってくれた。


拭き方は、かなり雑で若干痛い。


だけど、それでも、涙は止まらなかった。





「すげー顔して泣いてる」




…そう言った雨宮さんはなぜか嬉しそうで、そのことが私を拍子抜けさせた。


子供みたいな笑顔。


無邪気な笑顔って、こういうのを言うんだろうなってくらい。






「………うるさいです……」


「はいはいごめんなさい」


「………見ないでください……」


「やだ。面白くてかわいいから」


「……どっちですか…」




顔を隠そうとしたら、腕を掴まれてしまった。


仕方なしに見上げれば、やっぱり嬉しそうな笑顔が、目に飛び込んできた。






「かわいい」




…何の下心もなくそんなこと言われたら、どうしたらいいの。


涙は止まらないし、心臓は変な風に動くし、


私が私じゃないみたいで、足元がふわふわする。




私、この人の前だと、自分を保っていられないみたい。






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