おうちにかえろう
……今まで関わったことのない種類の人。
私、この人苦手だ、多分。
だけど、嫌いじゃない。
全然、嫌いじゃない。
変なの。
変だよ、こんなの。
…グ~~……
「…気ぃ抜けるわ」
「すみません……」
…ああ、本当にすみません。
なんてタイミングでお腹が鳴るんでしょう…
「まぁいいことだからな、腹減るっつーのは元気な証拠だ。美月ちゃんみたいな子はいっぱい食べた方がいい」
「……恐れ入ります……」
「何か作ってやるよ。何食いたい?…っつっても材料あんまねーし、炒飯とか簡単なもんしか作れな…」
「―――炒飯……」
ぐーっと、小さい音をたてたお腹を押さえながら、被せ気味に答えた。
雨宮さんは、分かりやすく目を丸くしていたけれど。
私自身も、どうして身を乗り出してまでそう答えたのか、分からなかったけれど。
「……初めて御馳走してくれたときと同じ炒飯、食べたいです……」
図々しくも、そんなことを言っていた。
こんなのだって、私じゃないみたいだ。
迷惑かけるって分かってるのに、
出しゃばってるって思うのに、
図々しいって、思うのに、
…いいんじゃないかなって。
「すぐ作るから、そこ座って待ってな」
にっと心地良い笑みを返してそう言ってくれた雨宮さんにだったら、今だったら甘えてもいいんじゃないかなって、
らしくもないことを考えてしまった。