おうちにかえろう






「美月ちゃんが来たらまた賑やかになって、もっと楽しくなるね!この家!5人家族ってことで仲良くしようね!」


「ほんと…っていうか、女の子っていうのが地味に嬉しい…この家今まで女の人いなかったから…一人ぼっち…」




2人の熱い視線を受けて、期待に応えられない心苦しさに押しつぶされそうになったけれど、その前に一つ、引っかかってしまった。


入間さん、5人家族だと言った?


梅田さん、今までこの家には女の人がいなかったと言った?




…正直言うとずっと前から気になっていることがある。


この家に住んでるのって、…私を入れさせてもらって、5人?



雨宮くんの家だよね?


雨宮くんの、お父さんとお母さんは?






「父さんも母さんも俺が中学の頃事故で死んだ」


「っ」




まるで、私の気持ちを読み取ったかのようにそう言われ、肩をビクンと震わせてしまった。


そっと視線を移すと、雨宮くんは、呆れ顔で私を見ていた。





「……何かお前…案外分かりやすいやつなんだな」


「…。どういう意味」


「いや、よく見ると顔に出るやつだなーと思って」




そう言ったあとに盛大に溜息をつかれてしまった。


と、言いますと、私今、心の声が顔に出てしまっていましたか。


だから、答えてくれたって、そういうわけですか。


………本当に申し訳ない。





(……亡くなってたのか……)




…そっか。



全然知らなかった。



でも、当たり前か。


私と雨宮くんは今こそこんな風に一緒にご飯を食べる仲だけれど、ついこの間までは本当に、まーちゃんを挟んで話をする程度だったわけで。


彼の家事情なんて、知る由もない。



< 137 / 199 >

この作品をシェア

pagetop