おうちにかえろう
「美月ちゃんが来たらまた賑やかになって、もっと楽しくなるね!この家!5人家族ってことで仲良くしようね!」
「ほんと…っていうか、女の子っていうのが地味に嬉しい…この家今まで女の人いなかったから…一人ぼっち…」
2人の熱い視線を受けて、期待に応えられない心苦しさに押しつぶされそうになったけれど、その前に一つ、引っかかってしまった。
入間さん、5人家族だと言った?
梅田さん、今までこの家には女の人がいなかったと言った?
…正直言うとずっと前から気になっていることがある。
この家に住んでるのって、…私を入れさせてもらって、5人?
雨宮くんの家だよね?
雨宮くんの、お父さんとお母さんは?
「父さんも母さんも俺が中学の頃事故で死んだ」
「っ」
まるで、私の気持ちを読み取ったかのようにそう言われ、肩をビクンと震わせてしまった。
そっと視線を移すと、雨宮くんは、呆れ顔で私を見ていた。
「……何かお前…案外分かりやすいやつなんだな」
「…。どういう意味」
「いや、よく見ると顔に出るやつだなーと思って」
そう言ったあとに盛大に溜息をつかれてしまった。
と、言いますと、私今、心の声が顔に出てしまっていましたか。
だから、答えてくれたって、そういうわけですか。
………本当に申し訳ない。
(……亡くなってたのか……)
…そっか。
全然知らなかった。
でも、当たり前か。
私と雨宮くんは今こそこんな風に一緒にご飯を食べる仲だけれど、ついこの間までは本当に、まーちゃんを挟んで話をする程度だったわけで。
彼の家事情なんて、知る由もない。