おうちにかえろう
「……そいえば朔ちゃん、朝ご飯食べないの?」
雨宮さんが気にかかったのは、私だけではなかったらしい。
梅田さんがそう聞くと、雨宮くんはそっと天井を指差した。
「何か朝から部屋掃除してる。檜山が使う部屋」
「っ」
何も食べていないのにむせそうになってしまった。
まじですか。
私のために部屋を空けようと、朝ご飯も食べずに掃除をしてくださっているのですか。
…本当にすみません。
私、図々しくも先にいただいてしまいました…
「……手伝わないと」
「…は?なにが?」
「いや、…だって、私が使う部屋掃除してくれてるんでしょう?手伝わないと…」
「いーんだよ別にやらせとけば」
「いや、そんなわけには…」
「ほんといいんだって。朔兄の趣味、掃除洗濯っていうかもう家事全般だから。あと裁縫と節約」
雨宮くんのしれっとした発言を聞いて、口元を引き攣らせてしまった。
…なんですかそれ。
よく出来た嫁のレベル超えてますよ。
(……私、裁縫なんて絶対無理だ……)