おうちにかえろう



まーちゃんに聞かれなくてよかった。


聞かれてたら絶対、さっきの雨宮くんとのものよりももっと壮絶なバトルが繰り広げられていたに違いない。



「…とりあえずアレだね、料理は私が教えるから、それまではお金使いたくなくてもどうにかすること」


「…別に食べなくても大丈夫だけどね」


「実際大丈夫じゃなかったから言ってんでしょーが!!」




………すみません。


仰るとおりです。





「……あのね。あんたにもしものことがあったら、それこそあんたの一番望んでない展開になるんだからね」



足を止めたけれど、手は繋いだままのまーちゃんに真っ直ぐに見つめられて、息を止めてしまった。



私の一番望んでいない展開。


そう聞いたら、私はまーちゃんの意見を受け入れるしかない。





「…それだけは嫌。…お弁当買う」


「よろしい!今週末スパルタ指導しに行くから!」


「よろしくお願いします」




安心したような笑顔を見せて、また歩き出したまーちゃんに手を引かれた。


廊下の窓から、澄み渡った青空を見上げて、思う。





「―――…」





――――今だけは仕方ないと思おう。



この先もあの人たちの世話になることだけは、死んでもごめんだ。





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