おうちにかえろう
「…、…やっぱり手伝ってくるよ」
スープをかきこんで立ちあがると、雨宮くんに「ほんとにいいのに」と溜息をつかれてしまった。
いや、でも、やっぱり悪いし。
今日中に荷物とかもちょっと持ってきたりとかしたいしね。
……お父さんにも一応、連絡しないといけないよな。
私になんて興味ないだろうから言わなくてもいいと思うけど、マンションは解約しないといけないだろうし、そういうわけにいかない。
連絡したく、ないけど。
「ごちそうさま、ほんとにおいしかったです」
「そりゃどーも」
「兄弟揃って料理上手」
「ふざけんな、俺のが美味いだろ」
雨宮くんは腕を組んで不服そうだけれど、本当に2人とも上手だなって思ったんだよ。
今日のスープも、優しい味がした。
雨宮さんが作った炒飯みたいに。
「…では、ちょいと行ってくる」
食器を下げてから、リビングを出ようとした。
…ものの、そういえば私、自分の部屋になる予定の部屋の場所が分からなかった。
「階段登って左。一番奥の部屋」
「……すいません」
私の思考はやっぱり漏れていたらしい。
雨宮くんの言っていたことって、もしかして本当なのかな。
私、分かりやすいのだろうか。
そのことを確認出来ないまま、雨宮くんの大きな溜息に背中を押されるようにして、リビングをあとにした。