おうちにかえろう
写真
「階段登って左…一番奥の部屋…」
ギシ、ギシ、と、上る度に階段が唸る。
角度の急な階段をやっとのことで上って、とりあえず左右を確認してみる。
右にあるのは、部屋が2つ。
左には、部屋が5つもあった。
全部、同じ木製のドア。
廊下が長い。
そして広い。
窓も大きいから、日が入ってきてとても明るい。
空いている窓の隙間からそよそよと風が吹き込んで、白いレースのカーテンを揺らしている。
(…大きい家だろうなとは思ってたけど、やっぱり大きかった…)
凄い。ちょっとした旅館みたい。
なんて思っていたら、一番奥の部屋から物音がした。
別に息を殺す必要も足音を立てないようにする必要もないのに、なんでそっと近づいているのか、自分でもよく分からない。
だけど、結局忍び足のまま部屋に辿りついて、少しだけ開いていたドアの隙間からそっと、中を覗き見た。