おうちにかえろう
「―――…」
ドクン、と鼓動が跳ねた。
何でかって、私自身、よく分からなかった。
とにかく、雨宮さんの後姿が見えた瞬間だった。
顔なんて見えるはずもないのに、
…おかしいんだ。
「…っ、わ、びっくりした!」
気付いた時にはもう、彼の肩を掴んでいた。
瞬間移動出来たんじゃないかってくらい、速く動いた。
私が私じゃないみたいに動いた。
雨宮さんはかなり驚いたようで、大きくて黒目がちの目を見開いて、丸くしていた。
「………泣いてない」
「…は?」
……びっくりした。
泣いてるかと思った。