おうちにかえろう
「……よし、終わった」
部屋が元通りになった頃、そう切り出されて眉を上げた。
やっと見られた雨宮さんの顔は、何だかとても窮屈そうで、言うなれば、気を使っているような、そんな顔だった。
「もうこれ運ぶだけだから、下行ってな」
雨宮さんは今、何を想っているのだろうか。
私がどんなに考えたってきっと、分かるわけもない。
ただ、多分。
恐らくだけど、あの写真は雨宮さんにとって、とても特別なものだったんじゃないかなって思う。
そうじゃなかった、こんな顔、しないと思うもの。
やっぱり私、とんでもないことをしてしまったのかもしれない。
「……ごめんなさい、本当に」
もういいって言われたのに、また自分からふりだしに戻させて。
何やってるんだろう。
気まずくさせるだけだって、分かっているのに。
それでも、雨宮さんが、
「…ほんと、見かけによらねぇなぁ」
呆れたようにそう言って、笑ってくれたから。
不謹慎だけれどほっとしてしまったんだ。